安全ガードなどの装置の開発により、産業機械の操作は数十年前に比べてはるかに安全になりました。機械安全に加えて、製造業の安全チームは電気安全規格とベストプラクティスにも従う必要があります。安全ライフサイクルの3番目のステップの重要な部分である安全回路設計は、危険源を検知し、事故や怪我を防ぐための保護措置を講じるスイッチ、リレー、その他の技術を通じて、人や機器を保護するように設計された電気回路を作成するエンジニアリングプロセスです。
安全回路設計を始める前に、リスクアセスメントと安全機能要件仕様(SFRS)を完了しておく必要があります。安全回路設計は、安全規格ISO 13849-1の内容、および実装する機械、装置、または安全原則に適用されるその他の規格を理解している担当者が行なう必要があります。SFRSにはこれらのほとんどが記載されているはずですが、必ずしもすべてを網羅しているとは限りません。
知っておくべきこと
リスクアセスメントとSFRS (安全設計基準)からいくつかの答えが得られることを念頭に置き、安全回路の設計を始める前に知っておくべき事項を以下に示します。
- SFRSで規定された基準を満たすために必要なデバイスの種類
- 安全機能の一部となる、入力デバイスから最終出力デバイスまでのすべてのデバイス
- それぞれのユーザーズマニュアルに記載されている個々のコンポーネントの特別な要件
- リスクアセスメントで要求されるパフォーマンスレベル(PLr)
安全回路設計において最も重要な要素は、部品の選択と回路アーキテクチャの2つです。安全部品の安全データは通常、製品のデータシートまたはユーザーズマニュアルに記載されています。これは、以下のいずれか、または複数の形式で提供されます。
- パフォーマンスレベル(PL)
- 安全度水準(SIL)
- 1時間当たりの危険側故障確率(PFHd)
- 危険側故障発生までの平均時間(MTTFd)
- 製品故障の10%までの機械操作回数(B10d)
検証要件
必要なパフォーマンスレベル(PLr)を満たす適切なコンポーネントを選択するには、プロセスの次のステップである検証に関する知識が必要です。パフォーマンスレベルは、信頼性に基づいてアルファベットで指定されます。例えば、PLaは最も信頼性が低く、PLeは最もリスクの高いアプリケーションにおいて最も信頼性が高いレベルです。
同じパフォーマンスレベル(PL)のコンポーネントを単に選択するだけでは、安全機能が指定されたPLを満たすとは限らないことに注意することが重要です。さらに、PLeを満たす必要がある場合は、ISO 13849-1に記載されているより厳しい要件があることにご注意ください。
アーキテクチャカテゴリには多くの要件がありますが、基本は次の通りです。
- カテゴリB – 単一チャネル、低~中MTTFd、コンポーネントの選択によって特長付けられる
- カテゴリ1 – 単一チャネル、高い MTTFd もコンポーネントの選択によって特長付けられる
- カテゴリ2 – 単一チャネル、低~高MTTFd、構造によって特長付けられ、低~中程度にする必要のある診断カバー率(DC)を導入
- カテゴリ3 – デュアルチャネル、低~高MTTFd、構造によって特長付けられ、DCは低~中程度
- カテゴリ4 – デュアルチャネル、高いMTTFd、構造によって特長付けられ、高いDC
実際には、多くの危険がeのPLrに達しないため、カテゴリ4が必要とされることはあまりなく、カテゴリ2もテスト要件のためにあまり使用されません(詳細はISO 13849-1を参照)。
留意点
ほとんどの安全システムは複数の安全機能で構成されているため、複数の安全回路で構成される安全システムを設計する前に考慮すべき追加事項があります。
- システム全体に必要な安全I/Oの数は?
- リセットや入力要求などの追加I/O
- デバイスはどこに設置されていますか?すべては中央の1カ所に配線されますか? それとも複数の場所に配線されますか?
- 新しい安全I/Oの量を処理できる安全PLCを備えた既存のロジックシステムはありますか? ない場合、既存のシステムを交換する方がよいですか? それともセーフティ・リレー・タイプのロジックシステムを追加する方がよいですか?
結局のところ、安全システムの導入における追加コストと遅延を回避する最善の方法は、安全と適用される規格を理解している有能な設計者、エンジニア、または企業を活用することです。設計と検証においてロックウェル・オートメーションと提携することは、設計の完成を依頼する場合でも、設計の検証を実施する場合でも、お客様のオペレーションの安全性と効率性への投資を意味します。より安全で生産性の高い産業慣行への道を自信を持って歩み始めるために、ぜひ当社にご連絡ください。